先日、「クライアントとドンパチしました」という記事をアップしましたが、今日はその後日談です。

自分のちっぽけな知識・経験を守ろうとした私は、クライアントに当たり散らすという、プロとしてあるまじき行為をしたわけですが…
そのクライアント向けの研修を先日実施してきました。
結論から言うと…
- 何が最高だったのか?
- そして、なぜそのような研修ができたのか?
を解説していきたいと思います。
最高の場になった研修
何が最高だったのかと言うと、
参加者の方が、研修を楽しみ、そして、その研修で学び取って
明日からの仕事や職場でのコミュニケーションに生かそうとしていることが、
私にも伝わってくる
そんな研修だったのです。
- 真剣に話を聞いてもらえる
- 活発に参加者同士で意見交換が行われる
- 講師への質問がもらえる
まるで、社外講師である私自身が、
- そのコミュニティの一員であるかのように参加者の方に受け入れてもらっている
- 私という人間を認めていただいているかのように感じることができる
そんな幸せな時間でした。
それは、講師として力量を認められる、ということとはちょっとニュアンスが違います。
研修の場を提供する一方通行のコミュニケーションではなく、
参加者の方との、心からの交流を通じて、研修のゴールに向けてお互いに協力して進んでいるような感覚です。

研修という講師によるサービスの提供ではなく、【同じゴールに向かう講師と参加者の協働作業】だったのです。
実は、企業研修において、私がそのように感じられる案件は、年に何件もありません。
なぜ、そのような素晴らしい研修になったのか?
では、なぜそんな素晴らしい研修になったのか。
一つは、間違いなく
です。
もっと成長したい、もっと改善したいことがある。
そういった、参加者の方の意欲が明確だったからこそ、研修の質が高まったのは言うまでもありません。
もう一つは、私が
ことにあります。
打ち合わせでドンパチした時の私は、
プロとして相手に自分を認めさせることができるか?
という結果・成果に固執していました。
それは、自分のちっぽけな知識・経験・プライドを守るために、相手をねじ伏せようとしていたからでした。
自分を守ろうとすると、身に着ける鎧が厚くなります。
鎧が厚くなると、相手からは余計に警戒されます。

そうすると、相手をねじ伏せようと、ますます威圧的な態度でコミュニケーションしてしまいます。
結果的に、打ち合わせも研修もうまくいきませんし、相手に認めてもらうこともできません。
求めている結果とは、ますます逆の方向に進んでしまうのです。
振り返りから得た気づき
完全に失敗した打ち合わせの後、もやもやした私は、半日かけて長文の日記を書きました。

そして、
- 自分自身を振り返り、自分が守りに入っていたことに気づきました。
- 守りに入っていたことに気づくと、自分が、自分の能力やアウトプットを大層なモノであるかのように過大評価していることに気づきました。
- 相手がそれ相応の見返り(報酬や、称賛、地位等)を示してくれていないから、やる気が出ないと、力を出し渋っていることに気づきました。
そこまでの気づきを得たうえで、自分がどうしたいのか考えてみました。
私にとっては、
自分の知識や経験を自分の言葉で研修・セミナーとして語ることは、
最高の「楽しみ」「喜び」であり、
「やりがいを感じること」であり、「自己表現」である
そこから、
せっかくチャンスをいただいたのだから、精一杯できることをやろう。
そんな風に、考えが変わりました。
それまでは、「面倒くさい、やらなければいけない仕事」だったのに、
「やりがいのある、やりたい仕事」に変わったのです。
そうすると、鎧を脱いで、等身大の自分で語ることができるようになりました。
威圧的な、高圧的なトーンはだいぶ薄れたでしょう。
研修の内容も、「私がプロとして語らなければ」という、「講師が主役」の内容ではなくなりました。
私は議論の前提となる知識を共有し、
参加者の方が互いに意見を出し合うことで
互いの意見に学ぶ環境を作る
という、研修を【参加者と講師のW主演、互いの協働作業】にブラッシュアップすることができたのです。
学びたい・改善したいというモチベーションで参加された方と、学びの場を作るプロとしての講師。
その協働関係が、「いい研修だった」というクライアントの感想と「幸せな時間を過ごすことができた」という自分の実感につながりました。
最高の結果・成果を手に入れることにつながったのです。

自分の気持ちに真摯に向き合い続ける
もしあなたが、うまくいかない仕事に直面したとき、多くの人は、「どうすればうまくいかせられるか?」と考えがちです。
でも、「うまくいかない⇒どうすればうまくいかせられるか?」という思考パターンは、多くの場合、鎧を厚くします。
少し遠回りに見えるかもしれませんが、
自分がそのうまくいかない仕事に対して、どう感じているのか?
「自分の気持ち」に着目して、自分の感情をつぶさに観察し、言葉にしてみてください。

最初のうちは、何がどう役に立つのかさっぱりピンと来ないかもしれません。
自分の気持ちを言葉にすること、感情を観察することに、違和感や嫌悪感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、
その腹落ちがあるからこそ、「自分はどうしたいのか?」という問いに答えが出るのです。
普段のセミナーでも、私は日記を書くことをお勧めしています。

日記を書くと、自分の考えを言葉にすること、文章を書くことの練習になりますし、
思考・感情のデトックスになり精神衛生上もメリットが大きいです。
日記、大変お勧めですよ。