渡辺まどかです。
前回から、
「問題解決」に焦点を当てた
長期シリーズをお届けしています。
1回目は、そもそも「問題」とは何か?
についてご紹介しました。
今日は、
「解決してはいけない問題」
について考えてみたいと思います。
問題解決の手法を身に着けると、
仕事上でのトラブルや
身の回りのもやもやについて、
どうアプローチしていいかわかり、
ぐんぐん物事が前に進むような
感覚になると思います。
ですが、
実は、解決していい問題と、
解決してはいけない問題があります。
解決していい問題、ダメな問題
解決していい問題とは、
● ルールや制度、しくみ、
● やり方・手順の不備
● 方針や考え方の方向転換
● 自分が、誰/何に対して、
どんな行動をするべきか
です。
一方で、
解決してはいけない問題とは、
● 相手が動いてくれない
● 相手がその気になってくれない
● 相手の間違いを正して、
正しい考えをするように強制すること
● 相手の成長を促し、自分の期待通りの
成果になるようにすること
です。
要は、
問題解決の対象としていいのは
「モノ・コト」と
「自分の心・行動」であり
「他人の心」は
問題解決の対象としては
いけないということです。
例えば、
組織として生産性が
低いということであれば、
● 業務のやり方(プロセス)を
見直す・廃止する
● 役割分担を変える
● 評価の仕組みを変える
● 目標の設定の仕方を変える
などは、
問題解決していい
問題解決が必要な対象になります。
しかし、
● メンバーのやる気がない
● 消極的である
● メンバーが、~できない
● 必要な水準に達していない
は、解決してはいけません。
それは、
相手の心を操ろうとする行為だからです。
人は、誰もがその人だけの
・感じ方
・考え方
・ものの見方
とらえ方を持ち
それに基づいて、
「やりたい/やりたくない」
「面白い/面白くない」
などの意思を持ちます。
相手の感じ方や考え方を
塗りつぶすような問題解決、
相手の心を無理やり
こちらの期待するような
形に変えようとすると、
信頼関係が損なわれます。
信頼関係が損なわれると、
そもそもコミュニケーションが
成立せず、生産性の向上という
大目的も果たせないことになります。
仮に、
相手のモチベーションや成果の
コントロールがうまくいったとしても、
相手の心を変える問題解決は、
根本的に
「あなたの感じ方・考え方は
ダメなので、
組織の方針に従いなさい」
というメッセージを相手に
刷り込んでいることになります。
![](https://yawalogi.net/wp-content/uploads/2023/02/pic26.jpg)
中長期的にみると、
相手の主体性が失われるため、
デメリットの方が大きくなってしまいます。
したがって、
相手のモチベーションや
行動の成果をコントロールすることを
目的とした問題解決はしてはいけないのです。
相手の心を変えるためのアプローチ
もし、
相手の心を変えるための
問題解決をしたいのであれば、
①自分は、
どうあるべきだと考えているのか?
理想・あるべき姿を深堀したうえで
②相手は
現状、どう感じ、考えているのかを
フラットに、よく聞き
③相手が変わらなかったとしても、
自分はどう行動するならば
納得できるのか?
自分のかかわり方を決める
ことだけが、唯一できる問題解決です。
なお、
②で相手の話を聞くときには、
自分のあるべき姿・理想は話さずに、
相手の話を深める、
拡げることに注力してください。
時間の7割を、
相手に話してもらうイメージで。
また、フラットに聴くとは、
「その内容はいいね」
「それは違うんじゃないかな?」
のような、
評価をしない、ということです。
どんな内容でも、
「なるほど、
あなたはそういう風に感じるんだね」
といったん受け取ってください。
そのうえで、
など、
深める質問をしていただければOKです。
①自分は、どうあるべきだと考えているのか?
理想・あるべき姿を深堀したうえで、
②相手は現状、どう感じ、考えているのかを、
フラットに、よく聞き
がしっかりできたら、今度は
③相手が変わらなかったとしても、
自分はどう行動するならば
納得できるのか?
自分のかかわり方を決める
です。
相手の心ではなく、
問題解決する「モノ・コト」と
「自分の心・行動」を考えてみてください。
そのときに、
などが出てくるのであれば、
それでOK。
ほかにも、
例えば知識・スキル、経験が
足りていないのであれば、
なんていうものでもOKです。
ただし、
それらをやったとしても、
相手のモチベーションや行動の成果が、
必ずしも改善するわけではない
相手が変化するかどうかは、
本来相手だけが決められることなので、
あなたがコントロールできることではない
ことを肝に銘じておいてください。
もし
相手に変化が見られなかったら、また
①自分は、どうあるべきだと考えているのか?
理想・あるべき姿を深堀したうえで、
②相手は現状、どう感じ、考えているのかを、
フラットに、よく聞き、
に戻ります。
変化がないときの心の持ち方
とはいえ、相手に変化が現れないのは、
イライラしたり、落ち込んだりしますよね。
そんなときは、
イライラする自分、
落ち込む自分を責めずに
自分の心身の健康を保ったまま、お付き合いできるかな~
と踏み込み方のアクセルを
緩めるのも手です。
③相手が変わらなかったとしても、
自分はどう行動するならば納得できるのか?
自分のかかわり方を決める
の中には、
「こうやれば改善する」
というポジティブな取り組みだけでなく、
- 自分は関与しない
(=他の人を頼ったり、
エスカレーションする) - あるべき姿・理想を低くして、
自分がイライラしない - 落ち込まないかかわり方に変える
といった、
戦略的撤退も、十分に考えうる選択肢です。
問題は、一人で解決する必要はありません。
ぜひ、頼る先を増やしてみたり、
あるべき姿・理想を見直してみることも、
考えてみてください。
もう一度確認しますが、
基本的に「相手の心」は
コントロールできるものではありません。
あなたにできることは、
①~③を、ずっと淡々と、
手変え品替え繰り返す感じです。
相手の変化はゆっくりかもしれません。
あなたが関わっている間に、
変化が訪れないかもしれません。
あなたの責任ではないです。
あなたが責任を感じて躍起になるよりも、
あなたが力を発揮しやすいところで、
問題解決に取り組めば、
それだけで十分に
周囲に対する貢献につながります。
大局的にみて、
問題の優先順位を考えてみてくださいね。