渡辺まどかです。
今日は、「叱り方」について考えたいと思います。
「叱る」と「怒る」の違い
【人を育てる】立場にある人は、
叱る=相手に注意をする立場でもあります。
「叱る」ことは、「怒る」こととは別です。
「怒る」のは、自分の怒りを相手にぶつけること。
「叱る」のは、人を育てる人が、
相手に与えるフィードバックの一種です。
叱れないと、相手が社会的に
困った立場に陥ってしまったり、
必要な成長の機会が奪われてしまいます。
ですから、子どもであれ、部下や後輩であれ、
【人を育てる】立場にある人にとって、
叱ることは果たすべき責任の一つです。
①叱るべき対象
叱るときに大事なポイントの1つ目は、
叱るべきことと、叱らなくていいことを見分けることです。
私は、【育てる人】が叱るべきポイントは、
この3つだけだと考えています。
● 人の命や財産、尊厳にかかわること
● 人様の迷惑になること
● 自分がされて嫌だと感じること
この考え方は、とある教育心理学者の
先生が紹介していたものですが、
実際には、子どもであれ大人であれ、
共通するものです。
だから、
失敗=本人がやりたいと思ってやったことで
うまくいかなかったこと
も、上記の3つに抵触していない限りは、
叱る対象ではありません。
前回の記事でもお伝えしましたが、
失敗することは、
その人の成長する機会であり、権利です。
前回の記事はこちら
【人を育てる】成長する喜びと権利を守るために
「よくチャレンジした」
「失敗したけど、ナイス・トライだった」
と受け止めてあげてくださいね。
②事実・根拠・改善策をセットで伝える
叱るときに大事なポイントの2つ目は、
冷静に、丁寧に、必要な情報を
しっかり伝えることが「叱る」ということです。
● どんな行動が問題なのか?(=事実)
● なぜその行動が問題なのか?(=理由)
● どのように行動を改めるべきなのか?(=改善方法)
叱るときは、上記3つのポイントが、
必ずそろっているように、伝えてください。
また、伝える際には、
主語を「私は」にして伝えてください。
叱るときは、思わず主語を
「あなたは」にしがちです。
例えば、
どうしてあなたは○○できないの?
というように。
これは、相手を責めたてる伝え方なので、
あくまで、
私は、○○は問題だと思った(=事実)
なぜかというと、私は、
○○すると△△になってしまうと思うから/
私は○○されるのが不快に感じるから(=理由)
だから、私は、□□という行動に
改めるべきだと思う(=改善方法)
という形で、「私は、思う(感じる)」
という形で伝えてください。
これは、相手に、
考える余地を残す伝え方です。
多くの【育てる人】にとって、
3つをそろえて説明することは、
負担が大きいことだと思います。
忙しかったり、
「相手は言葉がわからないから」
「まだ新人で詳しい事情が分かっていないから」
と相手を侮っていると、
改善方法だけ伝えて終わりにしてしまったり、
事実を指摘して注意した気になってしまいます。
しかし、どれかが欠けた状態で叱ってしまうと、
相手は自分の行動だけでなく、
自分の意思や存在そのものを否定されたように感じ、
相手は自分の頭で考えて行動しなくなります。
3つのポイントをそろえて、
冷静に、丁寧に伝えてあげてください。
これは、どんな人に対しても例外はありません
(大人や言葉のわかる子どもだけでなく、赤ちゃんでも、です)。
相手を、自分と同じ主体を持った、
一個の人間として尊重してくださいね。
③怒りを交えずに伝える
最後の3つ目のポイントは、
怒鳴りつけたり、
ねちねちと相手を責めたてたり、
要は
「怒りを交えずに伝える」
ということです。
とはいえ、
怒鳴ったりねちねちしたり、
感情的にならずに叱るのはとても難しい。
怒りに任せて怒鳴りつけてしまうことは
多々あります…(反省)
「怒りを交えずに伝える」というのは、
とても難しいことなのです。
怒りが交じってしまうのは、
あなたが傷つけられたと感じたから。
具体的には、
というような気持ちであるかもしれません。
あなたが怒りを感じるのは、
当然なのです。
怒りは、
自分の大切なものが
危険にさらされるときに、
本能的に感じるものだから。
衝動的にならないために言語化する
大事なのは、その怒りを、
怒りのままにぶつけるのではなく、
自分が
● 何に対して怒りを感じているのか
● どのような怒りを感じているのか
● どのくらいの怒りを感じているのか
を、
自覚する=言語化する=自分の言葉で語れる
ということです。
どんな怒りであれ、
あなたが感じる怒りは、
あなたにとって正当なものです。
だから、
怒りを殺したり、
押し込めたり、
スルーする必要はありません。
自分か感じる怒りは、
きちんと言語化しましょう。
自分の怒りをぶつけてしまいそうなときは、
口から怒りの言葉がでるのをぐっと飲みこみ、
その場を離れましょう。
言語化できると、
怒りをそのままぶつけようという
衝動は収まります。
(怒りの持続時間は6秒程度であり、
自分は何に怒っているのかな…
と考えているうちに時間が経つから)
とはいえ、衝動を押さえるのは
難しいものです。
子どもを怒鳴りつけてしまいます…
(反省2回目)
ただ、そのときは、気づいたタイミングで、
時間的・物理的に距離を取ります。
そして、「相手」ではなく、
「自分がどう感じているか?」
に意識を集中させます。
そうすると、
自分が何に対し、
どのように、
どれくらい怒りを感じているのかが
言語化しやすくなります。
また、怒るべきポイントかどうかの見極め(=①)や、
事実と根拠と改善策の言語化(=②)も
しやすくなりますよ。
そして、自分なりに考えが
まとまったタイミングで、
まずは謝ります。
謝るのは、
「怒鳴ってしまった」
という事実に対してです。
相手を、怒鳴りつけるという行動で
コントロールしようとした、
つまり、
相手を一個の人間としてではなく、
コントロール可能なモノとして扱おうとした、
ということを謝るのです。
相手もぐっと注意を聞き入れてくれやすくなりますよ。
ぜひ、【人を育てる】ための、
叱り方上手な人になってくださいね。