最近巷では、
「わきまえている」
「わきまえるな」
という話で盛り上がっていますね。
目次
「わきまえる?」「わきまえない?」
私のキャッチフレーズは、
「自信・安心・ロジシン(ロジカルシンキング)」
なのですが、
これを掲げる立場から言うと、
『「わきまえて」はいけない』です。
少なくとも、
そう思うのであれば、「わきまえたらもったいない」理由があるんです。
今日は、ロジカルシンキング講師として、
「わきまえて」はいけない理由をご紹介したいと思います。
そもそも「わきまえる」ってどういうこと?
まず、「わきまえろ」という人はどういう人か。
そこから見ていきましょう。
「わきまえろ」という人は、
組織の中で権力を持っている人です。
これまでにそれなりの実績を上げてきた、
だからこそ現在の地位を得ている。
そして、大きな何かを動かす力を持っています。
同時に、焦っています。
自らに課せられた責任の大きさを考えると、
自分一人の力では完遂できないことを知っているからです。
だから、人を動かして、事を為そうとします。
実績もあるし、鶴の一声で、
組織内外の人が動くから、
実行力もあるように見えるかもしれません。
同時に、
自分より優秀な人間が出てくることを恐れています。
自分が持っている権力の座を奪われるからです。
だから、
と協力を呼び掛けると同時に、
という制限を設けます。
これが、「わきまえろ」です。
「わきまえて」はいけない3つの理由
では、この「わきまえろ」というトップのメッセージに従うとどうなるか。
1.組織の中からアイデアが出なくなる
「わきまえろ」という人は、
しばしば、自分が達成したい目的を達成するために、
他者の知恵とアイデアを求めます。
もっとアイデアを出せ
そんな風に、叱咤激励(人によっては叱責)します。
しかし、自分が理解できない、
自分のイメージに沿っていないアイデアが出てくると、
つまらないことを言うな
と退けます。
(ちなみに、「話が長い」というのは、
聞いている本人に興味がない、
理解できないから長く感じてしまうのです。)
そうすると、否定された人は
と発言しなくなります。
「わきまえる」わけです。
もちろん、その場で発言し続ける人もいます。
しかし、「わきまえている」ので、
その人の理解できる、
イメージできる範囲のアイデアしか発言しません。
(というか、それしか許されていない)
当然、斬新なアイデアや発想は出てきません。
そうすると、冒頭に戻ります。
「自分の頭で考えてこい」
「もっとアイデアを出せ」
もはや、無限ループです。
2.人が育たなくなる
人が成長するのは、
PDCAサイクルの積み重ねでしかありません。
P:考える
↓
D:実行してみる
↓
C:結果が出る(成功することもあれば失敗することもある)
↓
A:振り返る
という小さなPDCAの繰り返しでしか、
人は成長しません。
「会議で意見を言う」ことも、小さなPDCAです。
しかし、トップが、
「自分が理解できない、イメージできないこと」
を却下すると、
その下にいる人たちは、PDCAを回さなくなります。
自分の頭で考えたことが、
失敗とみなされ、
しかも失敗が許されないわけですから、当然です。
小さなチャレンジができない人が、
大きなチャレンジができるわけがありません。
こうして、人は育たなくなります。
3.組織のモチベーションが下がる
みんなが「わきまえる」ようになると、
評価されるためには
「トップの頭の中にある正解」
を当てに行くしかなくなります。
なので、わきまえた人は
あるいは
という行動をとります。
そして、評価されるために、
トップのお眼鏡にかなうように、
組織の中で競い合います。
無事評価されたとしても、
いつトップの頭の中にある正解から外れるか、
内心は戦々恐々としています。
評価されなかった人は、
精神的な報酬(=やりがい)がないので、
物理的な報酬
(=できるだけ労力をかけずに、最大限の利益を得ること)
を追求するようになります。
逆に、自分の頭で考える人は、
評価されなくなり、組織を去っていきます。
こうして、
と、
だけが組織に残ります。
自分で書いていても嫌になるくらいですが、
日本という国全体で見ても、
自分の身の回りで見ても、
これが当てはまってしまう。
絶望的です。
でも、だからといって、
自分が自分らしく生きる未来を、
諦める必要はないです。
私たち一人ひとりができることが、
「わきまえない」ことなんです。
上手くいけば前進するし、
上手くいかなくても次の糧になる。
「すごい人」「偉い人」は、
最初からその評価を得ているのではなくて、
「今できることを最大限の勇気をもって継続した」から、
「すごい人」「偉い人」になっているのです。
はじめから、
「すごい」とか「偉い」を
目指す必要なんてない。
まずは、小さな小さなチャレンジからで十分なのです。
「わきまえずに自分の意見を言う」ことは、怖いことです。
つい、
と、わきまえてしまう。
でも、「わきまえない」人が
増えれば増えるほど、
「わきまえろ」というメッセージの効果は薄れます。
「勇気をもって意見を言う」という
チャレンジをし続けた人は、
「わきまえろ」というメッセージの
怖さと害悪を身をもって知っています。
だから、他者に対して、
安心して意見を言える環境を作れるし、
そういう人が増えれば、
「わきまえろ」というメッセージは無効化するのです。
だからこそ、私は、
「すごい人」でも
「偉い人」でもない、
自信と安心を持って
伝えられる技術としての
「ロジカルシンキング」を伝えたい。
そう思っています。
私ができる、
「わきまえない」行動は、
上を打ちのめすことでも、
世間に宣言することでもありません。
自分が伝えられる範囲の人が、
少しでも「わきまえずに自分の意見を言える」ように、
自信と安心を提供すること。
それが、自分にできる最大限の
「わきまえない」ために
できることだと信じています。
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