ロジシンコラム

相手に「伝わる」意見の書き方【ロジカルシンキングコラム】

渡辺まどか
渡辺まどか
おはようございます。渡辺まどかです

今日は、「相手に“伝わる”考え・意見とは?」というテーマで考えてみたいと思います。

なお、表面的なテクニックを期待する方には、この記事はお役に立てないと思います。

「自分で考える力、自分の意見を育てる力を養いたい」

「仕事やキャリア、生き方を本気で変えたいと思っている」

という方にこそ、読んでいただければなと思います。

 

「伝わる」と「伝えた」は違う

先日、顧客企業の研修担当者の方からメールをいただきました。

その企業とは、長くお付き合いさせていただいているお客さまで、現担当の方は二代目の方。

渡辺まどか
渡辺まどか
そして、私、現担当の方と大変に相性が悪いんです…

過去のやり取りでも、なんだか難しい方だなあという印象を持っていました。

 

大切なのは「読みやすさ」

今回のメールの内容は、研修の日程を変更してほしいというものでした。

その依頼文が、とにかく回りくどい。

私は、仕事柄、「文章の読みやすさ」にはとても敏感なので、そのメールを見たときの第一印象として、正直、

渡辺まどか
渡辺まどか
わけのわからない文章を書くなあ。めんどくさいなあ。

と思ってしまいました。

ちなみに、読みやすい文章を書くコツとしてはこんなものがありますね。

①結論⇒根拠⇒結論の順番で書く
②概要⇒詳細の順に書く
③中見出し・小見出しをつける
④インデントを使い、付加的な情報は、大事な情報よりも字下げして書く

このあたりは、一般的に言われていることなので意識されている方もいらっしゃるかもしれませんね。

そして、もう一つ大事なこととして、

⑤自分の意見(スタンス)を明らかにして、相手に依頼したいことを、はっきりと書く

というものがあります。

今回ご担当の方からいただいたメールが回りくどい原因は、⑤でした。

いただいたメールは、こんな感じです。

研修の受講対象者が変更になったので、日程を変更してください。
変更の方法にはAとBという方法があります。
Aにはこんなメリットがありますが、こんなデメリットがあります。
また、Bにはこんなメリットがありますが、こんなデメリットがあります。
AにするかBにするかはお任せいたします。

この、「AにするかBにするかはお任せいたします」というのが曲者です。

上記の書き方は、一見、事実を押さえ論理的に説明しているように見えますが、「決断する」というポイントを相手に押し付けています。

厳しい言い方をすると、伝える側が考えることを放棄している書き方なんです。

 

「決断」はエネルギーを消費する

実は「決断する」という行為は、思っている以上に脳のエネルギーを消費します。

相手に気持ちよく、自分の意図した行動をお願いしたいならば、相手に余計なエネルギーを使わせずに、行動に移ってもらうべきです。
そのためには、AなのかBなのかという決断は相手にさせず、自分なりにAという答えをもって、その根拠を示すことが必要なのです。

研修の受講対象者が変更になったので、従来お願いしていた時間割を短縮していただけますか?
変更の方法にはAとBという方法がありますが、今回はAという方法がよいかと思います。
なぜならxxxという理由があるからです。
もしAで不都合があるようでしたら、お手数ですがお知らせください。

この書き方だと、相手に依頼したいことがはっきりするので、「xxx」という理由に納得ができれば、依頼された方はストレスなく、すぐに行動に移すことができます。

仮に、xxxに納得できない、ということであれば、Bという代替手段に変更可能であることも伝えています。

相手に選択の余地を残しながら、相手の「考えるエネルギー」を最小限に抑え行動に移してもらうことができます。

ただし、

「Aでお願いします。なぜならxxxという理由があるからです」
と言い切るためには、
「自分の意見」がなければなりません。

 

伝える側が、決断すること、そしてその決断の客観的な根拠を言葉にすることが必要なのです。

  • 今回の目的はなんなのか?
  • そもそも、手段はAとBしかないのか?
  • AとBそれぞれのメリットとデメリットを比較して、
    どちらを取るべきなのか?
  • Aをとったときに、リスクはないのか?
  • Aをとったときのリスクは、現段階で対応可能なものか?

ここまで考え、自分なりに答えを出せれば、「なぜならxxxという理由があるから」と言い切ることができます。
(この5つの質問。いろんなときに使えますよ!覚えておいて損はありません。)

面倒に感じるでしょうか?

メールに書く文章は、たった数行なのに、そこまで考えなければならないの?!
こっちはやることがたくさんあって忙しいのに…

そんな風に感じる方かもしれません。

しかし、

「相手に伝わる」というのは、
相手に自分の意図した行動をとってもらって初めて、「伝わった」

と言えますよね?

ということは、「ただ書けばいい」わけではありません。

相手にスムーズに行動してもらえるようにするには、こちらが誠意を尽くす、つまり決断と根拠を考える労力を払うことが必要なのです。

 

相手に行動を起こしてもらう伝え方

もしあなたが、相手に何か行動をお願いしたいときには、この問いに対して、自分なりの答えを文章で書きだしてみてください。

  • 今回の目的はなんなのか?
  • そもそも、手段はAとBしかないのか?
  • AとBそれぞれのメリットとデメリットを比較して、どちらを取るべきなのか?
  • Aをとったときに、リスクはないのか?
  • Aをとったときのリスクは、現段階で対応可能なものか?

そのうえで、

Aがいいと思う。なぜならば…

という、本来メールで伝えたかった内容を、書いてみてください。

たった数行の自分の意見。

その背後には、自分なりに考え、決断した長いプロセスがあるのです。

しかし、その長いプロセスは、無駄な時間や非効率な時間ではありません。

表には出ませんが、自分で考える力、自分の意見を育てる時間であり、確実にあなたの力になります。

書いた文章、ちょっと添削してほしいなあ、という方。

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