渡辺まどかです。
「問題解決」に焦点を当てた
長期シリーズをお届けしています。
今日はその4回目です。
1回目:
「問題」とは何か?
3回目:
問題解決のステップ全体像
今日は、
問題の定義の仕方について
考えてみたいと思います。
第1回の記事で、
「問題」とは
「現実と理想・あるべき姿との間の
ギャップである」
とご紹介しました。
ところが、
この定義に沿って
問題を定義しようとすると、
まず
「理想・あるべき姿がなんであるか?」
が定義できず
問題があやふやになる、
ということが起こります。
したがって、
まずは、言語化しやすい、
「現状」について詳しく書き出してみる
が取り組みやすいスタートになります。
ステップ1:現状を書き出す
現状について書き出す時には、
出来る限り、客観的な事実を
書き出すようにしましょう。
「現状」として書き出す内容は、
次の3点です。
①前提条件
● 登場人物は誰か?
それぞれの登場人物はどんな人か?
“物語の登場人物紹介”ように、
関係する人物それぞれについて
説明しましょう。
● その出来事は、どこで起きたのか?
出来事が起きた場所
仕事上のトラブルや問題であれば、
どこの組織で起きたのかなど、
“物語の舞台”を明らかにします。
・ 場所
・組織の由来や成り立ち
・ほかの場所
・組織との性質の違い
などを
説明しておいた方が
他者に“物語の舞台”について
理解してもらいやすくなります。
②問題が起きた経緯
● ことの発端は何だったのか?
どんな経緯で、何が起きたのか?
問題が起きた経緯について、
過去から順に書き出してください。
直近だけでなく、
過去からのボタンの掛け違いが、
問題に発展しているケースもあります。
皆様が思うよりも、
少し長めに過去にさかのぼって
もらってOKです。
③どういう状況になっているのか
● 問題になっていること、
困っていることについて、
現状を書き出してみます。
評価は加えず、
できるだけ客観的な事実を
中心に書きます。
・定量的な表現
・誰が・何をした
・何かが・○○という状態になっている
などの書き方をすると、
より事実に着目した表現になります。
たとえ、
自分一人の中で
ブレーンストーミングする場合で
あったとしても
「全く状況を知らない他者が読んでも、
状況が理解できるように」
事実を書き出すことがポイントです。
自分一人で考えるだけだと、
必要最低限の事実しか
書き出さないものです。
また、
上司や同僚など、
問題について組織内の人に
説明する場合であっても、
「同じ組織にいるのだからある程度
背景はわかっているはずだ」
という無意識の思い込みが働いて、
事実として書き出す範囲が
狭くなりがちです。
ぜひ、
現状について書き出す時は、
背景について詳しく、
関係ないかもしれないけれど
ちょっと広めに書き出してみる
ことをお勧めします。
渡辺まどかの参考問題事例
このガイドラインに沿って、
私のダイエットに関する問題を
書き出してみると
こんな感じになります。
①前提条件:登場人物と舞台
渡辺まどか
渡辺(私):
フリーの研修講師、執筆業。
フリーの研修講師、執筆業。
平日は、在宅勤務だが
集中できないので
家から徒歩20分の
コワーキングスペースで
デスクワーク。
2人の子どもがいて、
休日は家事をしたり
子どもと遊んだりして過ごす。
仕事と家事・育児に追われていて、
運動をする時間がない。
食事も、本人としてはさっぱり系の
味付けが好きだが
子どもの偏食に悩まされていて、
肉や揚げ物などのメニューになりがち。
②問題が起きた経緯
もともと、有酸素運動
(息が切れるような運動)
は好きではなく
学生時代も文化系サークルだった。
社会人になってから
ジム通いにはまり、
一時は筋トレをしていたが、
その後仕事が忙しくなり、
お菓子の食べ過ぎなどにより、
+20㎏体重が増加した。
退職してフリーランスになってからの
健康的な生活と、出産・育児によって
大幅な減量に成功
ほぼ学生時代の体重まで戻った。
しかし、
子どもが手離れし、
仕事がしやすい状況になるにつれ、
ストレスからおやつの量が増えてしまった。
仕事量が増えたこともあり、
少しでも空いた時間があると
つい仕事をしていまい
運動をするための
まとまった時間が取れない。
子どもがいるときに
運動をしようとすると
子どもがまねしようとするため
自分のペースで運動できない。
結果、
5年前に比べて体重・
体脂肪が増えてしまった。
③どういう状況になっているのか
体重がxxkg、体脂肪がxx%である
どうでしょうか?
一口に「現状を書き出す」といっても、
皆さまが思っていたよりも、
幅広く、情報量多めに書き出さなければ
いけないんだな、という気がしませんか?
問題解決の研修やセミナーにおいて、
ワークとして
「現状を書き出してください」
と指示すると、
「体重がxxkg、体脂肪がxx%である」
という部分を書き出して
現状についてはおしまい
の方が多いんです。
そしてすぐに、
「じゃあ運動したらいいんじゃない?」
「xx式ダイエットがいいよ」などと、
解決方法に話題が流れてしまいます。
確かに、
渡辺の仕事の状況や家族構成など、
ダイエットに直接関係するかと言われると、
そうではないかもしれません。
しかし、こういった、
背景情報を改めて書き出してみると、
「運動するにもまとまった時間を
作り出すのが難しい」とか、
「子どもが食べてくれる食事を優先すると、
ダイエットに適した食事を摂るのが難しい」
といった状況であることがわかります。
背景情報が豊富になった上で
改めて考えてみると、
「運動すればいい」
「xx式ダイエットがいい」
という解決策が、
一般論に過ぎず、実現性の低いもので
あることがよくわかりますよね。
一人で問題定義するのは意外と難しい
一方で、
背景情報を、できるだけ客観的に、
情報量多く書き出すのは、
意外と難しいものです。
なぜなら、言語化できないものとは、
自分にとって当たり前のことであり、
空気のような存在なので、
意識する・自覚することが
できないからです。
もし、
うまく背景情報を書き出せない
というときには、
周囲の人に壁打ちをして
もらうといいでしょう。
まずは
自分が言語化できる範囲で話してみて、
相手にとってわかりにくいところや疑問点を、
質問してもらうことで
当たり前すぎて自覚できない部分の
言語化を促すのです。
周囲に、
「言語化が上手な人」
「意図をくみ取るのがうまい人」がいたら
そういう人に壁打ちを
お願いしてみるのも手ですね。
また、
仮に現状の書き出しがうまく
できなかったとしても、
この後のステップに進んでみて、
その中で、
「これも現状に書き足さなきゃ」と
思いつくこともあります。
あまり神経質になりすぎず
誰かに頼ってみたり、
今できる範囲で書き出してみることで、
まずは問題解決の第一歩を踏み出しましょう。
言語化お手伝いしますよ。ご相談くださいませ。
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