渡辺まどかです。
前回に引き続き、今回も
「考えていることを言語化する技術」について、
今回は、
「言葉の引き出し」の後編です。
前回の記事はこちら
伝え上手になれる!言葉を磨く方法【前編】
ニュアンスを伝えようとすると長くなる問題
前回の記事では、
● 言葉の理解の広さ・深さ
=用語の定義・用法を、自分の組織の仕事に置き換えて理解できるよう努力する
自分の組織や業務に、どのような背景、状況があって、それが必要なのか。
自分の組織や業務において、何をどうしたら、それが実現するのか。
それを実現することによって、自分の組織や業務において、
具体的に何が、どのくらい定量的に、良くなる(悪くなる)のか、
そこまで理解できるよう、学び続ける
● 粘り強く言葉を選ぶ
=マッチする言葉を粘り強く選ぶ。
全てを一言で語る言葉がないのに、
一部を言語化しただけで全てを表現できたつもりにならない。
ぴったりくる言葉ではないのに、
「雰囲気が似ている言葉」を使うことで、
言いたいことが言えたようなつもりにならない。
について触れました。
今回は、
「言葉の意味に捉われない」
について考えてみたいと思います。
いや、前回、
広く・深く理解しましょう』
と言ったじゃないですか?!
という声が聞こえてきそうですが(笑)
前回お伝えしたように、
豊かな言葉の理解をベースに、
自分にマッチする言葉を選んで表現しようとすると、
「単語一つで言い切ることができない」
という問題が起こってきます。
言いたいことのニュアンスを
正確に表現しようとすればするほど、
あれも言わなくちゃ、
これも言わなくちゃ、
ということになるので、
長い文章になってしまうんですね。
まずいったんは、それでいいのです。
自分が表現したいニュアンスが
どういうものなのか?
を言語化できるということは、
自分が考えていることを、
解像度上げて考え、
言語化できているということだからです。
ただし、
長い文章は読み手・聞き手の
思考力、集中力を消費します。
読み手・聞き手の
思考力・集中力を維持するためには、
「タイトルや見出しなど、内容の要約」や、
「キャッチフレーズやコピーのような、
比喩を用いたて相手の興味を引き出す表現」
が必要になります。
つまり、
考えたことを、短く要約したり、
一言で言い表すことが必要になります。
「言葉の意味に捉われない」
ということなのです。
国語の授業で練習したのは「少数派」の文章
では、要約や比喩を用いた表現が
できるようになるには、
どうしたらいいのか。
ベースにあるのは、
「この文章で伝えたいことは何なのか?」
という本質を見抜く力です。
小学校の国語の時間で、
「この作者が言いたいことはなんでしょう?」
という問いかけがありましたよね。
まさに、あれ、です。
国語のテストのテクニック的には、
「逆接の接続詞の後」や
「要約の接続詞の後」に
筆者に言いたいことがまとまっているとか、
「文章の係り受けを分解して、
特徴的なキーワードを押さえる」
なんていうモノがあるかもしれません。
が、こういったテクニックが効くのは、
実は優れた書き手・話し手の
アウトプットだけです。
私たちが普段耳にする、目にする
文章やコミュニケーションの多くは、
「実務上必要だが、
文法上の問題があったり、
文章の構成として美しくない言葉の連なり」、
語弊を恐れずに言えば
「駄文」であることがほとんどです。
国語のテクニックを駆使しようとしても、
あまり意味をなさないことがあります。
もともと、書き手も話し手も、
「何を言わんとしているのか?」
を明確にして書いている・話している
わけではないからです。
本当に言いたいことは、心で選ぶ
では、そういった
日常的なコミュニケーションで
やり取りをする「駄文」において、
「この文章で伝えたいことは何なのか?」
という本質を見抜くにはどうしたらいいのか。
それは、
「ぐっとくるキーワード」を見つけて、
その言葉を掘り下げることです。
「ぐっとくる」という感覚的な言葉ですが、
いくつか例示してみると、
● 熱がこもっているキーワード
● 何度も繰り返し出てくるキーワード
● 思い入れがありそうなキーワード
● 複雑な意味や背景がありそうなキーワード
などが、
「ぐっとくるキーワード」にあたります。
これらのキーワードは、
必ずしも、「表面的な意味」を
表しているわけではありません。
その人なりの、
そこに込めたニュアンス、
強調したい理由があるから、
「熱がこもり」
「何度も使いたくなり」
「思い入れや意味を込めて」
その言葉を使っているのです。
自分が書いた文章を、
日を改めて読んでみてください。
書いたときとは異なる、
恥ずかしさだったり、
落胆だったりを感じることでしょう。
それは、書いているときには
その内容に没入して
冷静さを失っているのに対し、
時間を置いて読むと、
多少の客観性を持って
自分のアウトプットを読むことができるからです。
つまり、書いたときとは違う、
ちょっと他人の目を持って
文章を読むことができるわけです。
そのときに、
「ぐっとくるキーワード」をみつけ、
さらに掘り下げてみる。
そんな観点から、
その言葉を、さらに掘り下げてみてください。
矛盾しているようですが、
掘り下げて、
さらに考えていることの解像度を上げると、
自然と「これが言いたい」
という本質が
見いだせるようになるのです。
私たちは、言葉を、
辞書通りの意味で
使っているわけではありません。
その人なりの、
知識や経験、価値観が反映されて、
その人だけの意味を持って、
言葉を使っています。
意識的であれ無意識的であれ、
きちんとした背景・理由があります。
そして、
その意識的・無意識的な
背景・理由を言語化することこそが、
自分が伝えたいことにマッチする言葉を
選ぶ精度を上げることになるのです。
「ぐっとくるキーワード」を見つけられない時に有効な、「壁打ち」
自分で
「ぐっとくるキーワード」を
見つけるのが難しい、
そこから掘り下げるのが難しい方は、
ぜひ、
利害関係のない友人や
同僚の方を見つけて
「壁打ち」してもらってください。
「壁打ち」とは、
アドバイスも問題解決もない、
ただ聞いてもらって、
感想や印象をフィードバックしてもらうものです。
文章を読んでもらったり、
話を聞いてもらって、
「気になるキーワード」や
「印象的なキーワード」を、
いくつかピックアップしてもらってください。
客観度が上がるので、
自分にはない視点で掘り下げができます。
ちなみに、
「渡辺さんと話していると、言語化される」
というのは、まさにこれなんです。
その人が
「自分にとって当たり前すぎて、
掘り下げられない、
でもそこにその人なりの
ニュアンスがこもっているキーワード」
をピックアップして、
「それはどういうことですか?」
「もっと具体的に聞いてもいいですか?」
を繰り返しているので、
「考えていることが
言語化された気がする」んですね。
もやもやして気持ち悪い、
言語化してすっきりしたい!という方、
壁打ちの相手になりますので、
お気軽にお声がけくださいね。
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「言語化」に関する記事は、
もう少し続きます。
次回は、
「自分なりの考え、アイデアを言語化するには?」
というテーマでお届けしたいと思います。
お楽しみに。