渡辺まどかです。
「問題解決」に焦点を当てた
長期シリーズをお届けしています。
今日はその6回目です。
1回目:
「問題」とは何か?
3回目:
問題解決のステップ全体像
4回目:
現状を書き出す
5回目:
理想・あるべき姿を定義する
前回は、
理想・あるべき姿の
定義のしかたについて触れました。
をしたら、
次は、問題を定義することになります。
第1回
でも触れた通り、
「問題」とは
「現状と理想・あるべき姿の間のギャップ」
を指します。
問題解決のためのステップ
現状と理想・あるべき姿を見比べて、
問題点を書き出しましょう。
前回も確認したように、
最初に思いついた理想・あるべき姿は、
「5年前のベストな状態
(xxkg、体脂肪率がxx%)でありたい 」
でした。
これと現状のGAPを考えると、問題は
「増えてしまった体重を、
5年前の水準に戻したい」になります。
しかし、
「増えてしまった体重を、
5年前の水準に戻したい」を
問題に据えると、
その後の解決策が
実現不可能なものになってしまったり
ありきたりで効果の上がらない
ものしか出て来なくなってしまいます。
そこで、理想・あるべき姿を、
「なぜ(=何の目的で)そうありたいのか?」
と、問い直すのです。
問い直した結果、
私の例では新たな理想・
あるべき姿を
「家族との時間や仕事のクオリティを
上げるための体力をつけたい」
と定義しました。
新たな理想・
あるべき姿に沿って
問題を定義しなおすと、
「運動をするための
まとまった時間が取れない」
が問題となります。
今度は、
時間が取れないことが問題なので、
どうやって時間を捻出するか、
あるいは、
短時間・すきま時間でできること
を考えればいいので
解決できる解決策を
思いつくことができそうです。
このように、
理想・あるべき姿を
何にするかによって、
定義する問題が変わります。
どんな問題を定義するかによって、
考えるスタートが変わります。
問題の定義は
とても大事なステップであると
考えてください。
私たちは問題を正しく認識できないことがある
問題の定義をするうえで、
もう一つ覚えておかなければならない
ことがあります。
それは、
「自分が渦中にいると
問題を認識できないことがある」
ということです。
例えば、上司から
と言われて、
というのはよくある話です。
人間は、見たもの・聞いたものを、
そのままインプットして考えて
いるわけではありません。
「認知バイアス」というものが働き、
見ている・聞いているのに、
それを認知できないということが
しばしばおこるのです。
問題の認識を阻む
「認知バイアス」に、
「被害者非難バイアス」
というものがあります。
被害者非難バイアスとは
私たちは、自分の心の平穏を保つために、
「世界は基本的に公正で公平なものだ」
という無意識の信念を持っています。
しかし、実際には、
世界は公正でも公平でもありません。
すると、
不平等な結果が出ることもあります。
現実に起きた不平等な結果
(例えば「頑張ったのに成果が出ない」等)
が起きたとき、
それは
「世界は基本的に公正で公平なものだ」
という自分の無意識の信念と
衝突することになります。
そうすると、
自分の無意識の信念を守るために、
その人ががんばらないからだ
私ががんばったからだ
という形で、
環境ではなくその人に原因を
見出してしまうのです。
その人が頑張っていないわけではなく、
不当な立場や不利な環境に
原因があったとしても、
「被害者非難バイアス」によって、
「不当な立場や不利な環境」
という改善すべき問題を認識できないのです。
システム正当化バイアスとは
さらに、
「システム正当化バイアス」
というものも存在します。
これは、
不当な立場や不利な環境が実在する
という事実そのものが、
「世界は公正で公平」
という無意識の信念と反するため
誰もが適材適所に配置されていると信じ、
自分の不利益さも分相応だと
考えてしまうというものです。
自分が、
不当な立場や不利な環境にあったとしても、
それは
自分の頑張りが足りないから
能力やスキルが不足しているから
と、
問題であることをスルーしてしまうのです。
このような認知バイアスが働くと、
そもそも改善すべき問題が
見つからなくなるわけです。
問題を見つけ、改善することは、
自分自身の、
さらには自分が属する組織や
コミュニティの生産性を上げ、
幸福度高く働くために必要なことです。
私たちは基本的に
認知バイアスを通して
物を見ているのだということを
常に頭の片隅に置いておくことが重要です。
ということで、次回は、
問題を見つけるために必要なこと
について考えてみたいと思います。