ロジシンコラム

自分では気づきにくい「認知バイアス」を事例をもとに解説

渡辺まどか
渡辺まどか
こんにちは。
渡辺まどかです。

「問題解決」に焦点を当てた
長期シリーズをお届けしています。
今回はその番外編です。

 

前回は、認知バイアスの回避するために

①自分の「嫌だ」「面倒くさい」
「やりたくない」を無視しない


②外を知る、外からの視点を排除しない


③視座を上げて考える

の3点をご紹介しました。

 

今回は、認知バイアスが働いた
問題定義の事例を2つ
ご紹介したいと思います。

 

ケース1:どうすれば会議が有意義なものになるか?

これは、
とある受講者さんから受けた質問です。


その方は、ある会社の事業部の、
予実管理を担当する部門の方でした。


定期的に、事業部内の各部署の部長に
集まってもらい、業務改善のための
会議を行っており、

 

その方が事務局として
資料の準備、会議の議事進行、議事録の作成と
回覧・発行まで一連の作業を行っていました。

 

ところが、あるとき、
全然畑の違う部門から
上司が異動してきました。

 

それまでの上司は、
長くその部門にいた方だったので、
会議のテーマだしや
議事進行へのアドバイスなどが
的確だったのですが

 

新たに着任した上司は、
畑違いの部門からの異動だったため、

 


前の上司ような仕切りができず、
会議がうまく回らなくなってしまったのです。

 

 

そこで私のセミナーを受講
してくださった際に、冒頭の問い


どうすれば会議が有意義なものになるか?
に対して問題解決をしたい、
と話してくださったのです。


しかし、
よくよく現状(事実)を確認すると


その会議でテーマとして取り上げられている
業務改善は、


「すぐ着手できる範囲」は
すでにやりつくされており、


あとはシステムの導入や
業務プロセスの改善など、
大きなプロジェクトとして
取り組まなければ事態が進展しない
レベルにまで達していました。

 

また、それらの取り組みは、
本来事業部と各部署で
主導されるべきものであり


予実管理を行う管理部門が
主管すべきものではありませんでした。

 

現状を詳しくヒアリングして、
渡辺が感じたのは、
本当にその会議は続けるべきなのか?
という違和感です。

 

それを質問してくださった方に
問いかけたところ


しばし考えて

前の部長が主導してやっていたものだから、
会議を辞めるという選択肢を
考えたことがなかった。
でも確かに、そういう考え方もあるかもしれない

と答えられました。


そこで、そこから、本来あるべき姿について
ディスカッションを重ね、

 

「各部署が必要な情報を共有できることが
あるべき姿であり、
そのための手段は会議でなくてよい」
という結論(あるべき姿)

に行きつきました。

 

結局その方は、会議の廃止を提案し
上司もそれを了承。


会議に出席していた他部署の部長さんからは
「よくやってくれた」
という言葉をもらったそうです。

 

さらに、事業部内の
他の会議体の見直しも進み始め


結果として業務効率化が
さらに進んだというおまけもつきました。

 

この方のケースでは、
会議が形骸化したのは
自分のテーマ設定や
議事進行の仕方が悪いからだ


というシステム正当化バイアス(※)
が働いているため、


そもそも会議が必要ないのでは?
という全く違う角度での
問題に気がつかなかったのです。

 

※システム正当化バイアスについては、
こちらを参照してください

 

 

ケース2:問題の解決策は、自分のスキルアップとフォーマット改善

これは、渡辺が講師を務めた、
とある販社の事務系担当者向け研修の
演習でのできごとです。


リーダーシップや
モチベーションマネジメント
問題解決など
幅広い内容について講義を行った後、


演習として
「自分の組織の業務改善を提案する」
というテーマで発表を行ってもらいました。


その中で発表されたあるグループの結論が
問題の解決策は

自分のスキルアップ(=ExcelのVBAを覚える)

フォーマットの改善(=覚えたVBAを使って、入力項目のチェックをする)


だったのです。

 

この発表内容は、
一見やる気に満ちた意見に見えるんですが、


実は
他の人に迷惑をかけない範囲内での改善策
にしかなっていません。


よくよくその組織の現状(事実)
についてお話を伺ってみると、


本当は担当者間での
コミュニケーションの取り方に
無理がある


本来フォーマットに
情報を入力するべき人が
他業務の忙しさを理由に、
事務系担当者に業務を肩代わりさせるという

 

・業務分担の偏り
・非効率な役割分担の横行

などが、原因にあるようでした。

 


発表したご本人は、
スキルアップが必要
(自分がExcelをうまくつかえないことが
問題の原因)
と捉えていたようですが


実際には業務負荷が重く、
とてもではないですが
業務時間内にスキルアップすることは
難しそうでした。

 


このケースでも
「システム正当化バイアス」が働き


悪いのはスキルの低い自分だから、
自分ががんばれば問題は解決すると、


問題解決の矛先を自分に向けています。


しかし、
入力フォーマットが改善したところで、
自分の業務が少し楽になる程度


結局業務の効率化効果は
微々たるものですし、


そもそも忙しすぎる状況での
スキルアップは実現が難しいのです。


「スキルが低い自分」も
無きにしも非ずですが、


それは一旦脇において
「システム正当化バイアス」
があることを前提に考えたら、


つまり、自分が悪いのではなく
環境やルールに問題が
あるのかもしれないと考えたら、


もっと実現可能性が高く、
実施効果の高い解決策が見つかるはずです。



今回は、
認知バイアスがどのように働くのかについて
事例をもとに考えてきました。


これらの

認知バイアスがあることを意識するだけでも、
視野が広がり、
より効果的な解決策につながる問題に
目を向けやすくなります。


前回の記事でもご紹介した、

①自分の「嫌だ」「面倒くさい」
「やりたくない」を無視しない

②外を知る、外からの視点を排除しない

③視座を上げて考える

は、自分に働いている
認知バイアスを
意識しやすくするためのコツです。


上司に
「他のやり方はないの?」
「こっちのやり方の方がいいんじゃないの?」
と指摘されて

 

自分の視野の低さや
考えの甘さを痛感する方は

 


ぜひ、ご自身の認知バイナスを
疑ってみてほしいです。



自分では気づきにくい
認知バイアスを第三者の視点から
率直に見直したい方、
無料の個別カウンセリングにてお話伺います。

渡辺まどか
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